重力を制御するなどと言えば、何かとても難しそうですが、実はとても簡単なことです。あらゆる物体は質量を持っています。質量を持った物体は重力場の源でもあります。もし、質量を持った物体を動かすと、周りの重力場も動くでしょう。物体を動かすことによって、周りの重力場の状態を変化させることができます。重力場の状態を変化させたということは重力を制御したということになるのです。物体を動かしたことがない人はいないでしょう。つまり、誰もが重力を制御したことがあるのです。物体を動かすと周りの重力場も動くということは、次のような簡単な実験で示すことができます。最初に質量Mの物体Pが場所Aに置かれているとします。次に物体Pを別の場所Bに動かしたとします。もし、物体を動かすことで、周りの重力場が動かないとすれば、物体Pの重力場は、場所Bではなく場所Aにあることになります。実験によれば、物体Pの重力場は、場所Bにあることがわかります。どうして物体Pの重力場が場所Bにあるとわかるのでしょうか。それは簡単です。場所Bで物体Pの重さを計ってみればいいのです。
コマの運動の考察に戻りましょう。コマというものは、質量を持った物体が連続的な回転運動をするものです。物体が運動すると周りの重力場も動きます。つまり、回転しているコマは、回転重力場をつくっているものなのです。回転していないコマは、回転重力場をつくることはできません。これが回転しているコマと回転していないコマの物理的な違いなのです。
次には、コマが歳差運動する理由を考えることにしましょう。